特定社会保険労務士 森川友惠のブログ

特定社会保険労務士です。働く場に関わるすべての人に幸せを。そんな思いで活動しています。

ここだから『買いたい』『居たい』と思われるためには。

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 こんにちは。特定社会保険労務士の森川友惠です。

花冷えというには少々遅めなのかもしれませんが、本日も京都は天気はとても良いものの、少し肌寒く感じます。皆様は、体調など崩されていませんか?

 

 昨日、約4年ぶりにスマホの機種変更をしました。よく…使ったものです。そして、こんなにも格安スマホが花盛りである中、かたくなに大手キャリアのDさんを20年以上利用しています。これにはいろいろ理由があるのですが、何よりも大きいのは『変更が面倒くさい』(笑)というのと、品質の『安定感』です。

 

いわゆるスイッチングコスト

私自身が感じた『面倒だ』という気持ちは、

"変更するにも、何が良いのか、どれがベストなのかを調べる手間がかかるなーーー”

"私自身のキャリアを変更するとなると、家族分全部変更しなきゃーー”

とい気持ちから感じるもの。これを実行するとしたなら、

①各社の情報取集

②①で得た情報から比較検討して

③その上で、まずDさんで契約しているスマホ3台分を解約して

④はじめて新しいキャリアで契約する。

➄各種費用のお支払い

⑥新しいスマホの使い方を覚える

現状のDさんんであれば、④からスタートとなる訳ですから、①~③をこなす時間的なコストと心理的な負荷。これが、私には重くのしかかり、20年以上のDさんで、繰り返し機種変更を重ねる愛好者となった訳です。

私が感じた負担こそが、よく言われるスイッチングコスト(顧客が現在使用している商品や製品、ブランドから別の商品や製品、ブランドに変更するときに発生する負担)なんですよね。

スイッチングコストには3種類

このスイッチングコストは3つに分けることができると言われています、それが、

  • 金銭的コスト(変更に必要な金銭的負担)
  • 手続きコスト(時間や労力)
  • 心理的コスト(また、はじめからやらなきゃ…いけないのかーー)

この仕事をはじめる前にとっても長く勤めていたスポーツクラブ。私が業界に現役で勤務していたときも、そして今も、少ない分母を数多いクラブで取り合っていた…というのが現状で、その"奪い合い"でどの会社もこぞってやっていたのが、ずばり…

顧客の“金銭的コスト”を思いっきり下げるという方法。

『こんなに安いからどうぞ入ってねーー』

『安いから入会してねーーー』

というもの。でも、この方法は、企業にとって恐ろしく費用が掛かる方法なんです。そして、安いから入会した顧客は、更に安いクラブができれば、そちらへ移動する→クラブは退会が止まらないから、また入会促進するためのキャンペーンをやる→…という悪循環を生む訳です。

で、どうしていたのか?どうすれば良いのか?

よくマーケティングの世界では、"得している"と思わせろとか、"変更すると損をする"と思わせろとかよく言われたりするのですが、スポーツクラブの役割って、そもそも何ですか?という事をを考えると、顧客自らに選んでもらえること。選ばれる場所であることがめちゃくちゃ重要。これを忘れてはダメなわけです。

 

『私はこのクラブが好きなの―――』

『このクラブだから通っているのーーーー』

『あのコーチとあのスタッフがいるのはここだけだからーー』

と言わせてなんぼの世界なのです。この力がスイッチングコストをある意味上げるし、スイッチングコストを超えさせる訳です。

 

顧客から選ばれる…ことについてはまた別の日に書いてみたいと思います。

では~。本日はこのあたりで。

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ハラスメントが発生する背景

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こんにちは。特定社会保険労務士の森川友惠です。今日の京都は少し肌寒いですが、とても良い天気です。

さて、ハラスメントについて。ハラスメントを日本語に置き換えると"いじめ、嫌がらせ"のことを指します。大の大人が集まって仕事をする場で、

"いじめって?"

"嫌がらせって?"

小学生や中学生じゃあるまし…という印象をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。ですが、今、ハラスメントが大流行です。実際にこちらのグラフをご覧ください。

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出典:厚生労働省

〖引用したページはこちらです〗

これは、いわゆる行政機関に寄せられた労働相談を内容別、年度別にグラフ化したものです。それまで相談のトップだった「解雇」と平成24年度に並んでから、以降毎年その件数を伸ばし、今やぶっちぎりのトップを走っているのが「いじめ・嫌がらせ」です。

実際に、私もこの3月末まで行政で労働相談を受ける仕事をしていましたが、直接的なハラスメントだけでなく、

「私だけ労働条件を引き下げられた」

「責任を押し付けられて、数字が下がったからと評定を大きく下げられた」

等の間接的に嫌がらせ??を疑うようなご相談を多く受けてきましたし、ここ2年は特にこの傾向が強いように思います。

では、その理由はどのように考えられるでしょうか?

大きく変化した働く人の意識

 以前であれば、自分の将来を考えて「長く仕事を続けたいから、ガマン」と考える人も多かったのですが、今は「合わないのであれば辞めれば良いや」「転職すれば問題なし」「いっそのこと開業しよう」と考える人が増えました。ですから、自分が感じた不満や不安を口に出す人が増えたこととともに、"パワハラ"という20年前は存在しなかった便利な言葉が浸透したこともあり、みんながこぞって使い始めたことが大きいですし、最近は人権意識が一般的に強まってきていることもあり、以前と比べて自分の意見や苦情を言いやすい状況になってきたこともあるでしょう。

 そして、職場だけでなく、地域や家庭、学校でも"厳しい指導"をする人がめっきり減ってきてストレスに対する耐性が弱まってきたからという指摘もあります。

 

職場環境の変化

 皆様の職場も、様々な背景を持たれている方が一緒に働かれてることと思います。ですからSMAPのセロリではないですが、"育ってきた環境が違うから好き嫌いはイナメナイ"状況なのではないでしょうか?世代、経験、考え方が違えば、仕事に対する価値観を違って当然です。が、この価値観を認めず、自分の考え方を押し付けたり、役職という力で合わせようとすることからハラスメントが生まれるのです。今、最も大切なことは、採用選考できちんとした採用基準を持つということと、"私もOK""あなたもOK"という考え方を職場に浸透させることです。

 採用基準については、「人手不足なのに、来てくれるだけでラッキー」「とにかく人がいるから全員採用」のような対応をされている事業所さんでは、数カ月で退職。しかも「解雇だ!予告手当支払え」なんて話で余計なパワーを使う…という悪循環にはまってしまうなんてことになりかねません。採用の段階で、会社に合う人材なのか?今の職場に欠かせない人材なのか?絶対にはずせない条件って何なのか?このあたりを研ぎ澄ましておく必要が将来のハラスメントの予防につながります。

 そして、"私もOK""あなたもOK"と言う考え方。実はこれがなかなか難しいのです。"私はOK"という考え方はできても、"あなたもOK"はなかなかのハードルの高さです。これは、自身の仕事への価値観が強固であればあるほど難しいのです。

 

では、どうすれば良いのか?

 いわゆる管理職層にある方は特に、その違いを楽しみ、「なぜ、その考え方になるのか?」と聞いてみてください。その理由を聞けば、妙に納得できたり、その人に興味を持つきっかけになります。100%上手くいくとは言えませんが、間違いなく、コミュニケーションの接点はできますから、この点がお互いを理解する糸口を見つけてくれるかも?です。

 他人と過去は変えられませんが、自分と未来は変えることができます。ぜひ、何かを変えたくば、まずは自分から変わることですね。

 私自身も肝に銘じて、午後の仕事頑張ります。

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業界特化社労士の視点から~スポーツクラブ編~

皆様、こんにちは。特定社会保険労務士の森川友惠です。

私、この仕事に就く前は20年以上スポーツクラブを運営する会社に勤務しておりました。その関係で、業界に関わる現場でのご相談や労務管理についてご相談を受けることがあり、昨年の12月にはいわゆる業界紙に寄稿する機会がございました。

 

スポーツクラブ関連でお仕事されている方に少しでもお役に立てばと思いますので、

www.chukidan.com

を貼らせて頂きます。

是非、ご参考になさってください。

 

テルハラってどうなんだろうか?

皆様、はじめまして。京都で特定社会保険労務士として活動しております森川友惠です。

 

長い間、別のサービスを利用してブログをアップしておりましたが、この春、社会保険労務士としての活動の場が大きく転換しましたのを機に、ブログもバージョンアップをいたしたくこちらでお世話になることにしました。過去の経験や日々の活動の中で感じることや、皆様のお役に立てそうな情報を少しずつアップしていく予定でおります。

どうぞよろしくお願いいたします。

「●●ハラ」という言葉が大流行り

私は社会保険労務士という職業柄、様々な場で話す機会を頂くことが多いのですが、最近依頼を受けることが多くなったテーマの一つに「ハラスメント」があります。新型コロナウィルスの影響で、職場ではテレワークや時差出勤などが活用され、実際に顔を合わせてコミュニケーションを取る機会がめっきり減少しています。となると、職場の人と人との関係性が希薄になり、信頼関係を築くために相当の努力(当然ながら費用も時間も)をされているけれども上手くいかないというお悩みを抱えておられる方も多く、結局はテレワークを辞めたというお話しも耳にしました。

 

そんな職場環境の変化に加えて、年齢や経験に国籍、雇用管理形態が異なる人(=仕事に対する価値観が全く異なる人)が集団で仕事をする訳ですから、意見の食い違いや様々なトラブルが発生するのは当たり前。ですが、この仕事に対する価値観の違いを受け止められず、力でねじ伏せようとする言動に走る方が少なからずいらっしゃり、実際に

「いじめを受けている」

「嫌がらせを止めてもらいたいけれど…」

と言ったご相談が昨年は急増しました。

 

ハラスメントを防止するために必要なこと

ハラスメントの対策や職場内で起こった場合の対処方法についてはまた別の日に書かせていただこうと思いますが、最も相談を受けることが多いパワーハラスメント(以下パワハラ)については、一般的に行為者となる確率が高い管理職層やリーダー職層については(※上司➡部下だけではなく、最近では部下➡上司のご相談が増えています。)一発アウトのブラック行為についてきちんと理解させ、絶対にその行為はさせないこと。

また、その対象者となる一般の従業員や職員には、ハラスメントについての正しい理解をさせること。そして何よりも大切なことは、何でもかんでも“ハラスメント”という言葉を使ったコミュニケーションを取らないように教育することです。

つまり、仕事で感じた違和感を“ハラスメント”という言葉で置き換えるのではなく、ちゃんと自分の言葉で説明しなさい。という事を教えるのです。

これをやらなければ、いつまでたっても職場から“●●ハラ”という言葉はなくなりません。

 

今朝、テレビで見た“テルハラ”って?

今朝、テレビで新入社員に電話応対を押し付けるのは"テルハラ"だなんて話を耳にしました。この4月、私自身も新入社員の方を対象にしたビジネスマナー研修をいくつか実施しておりますが、受講者の皆さんで電話応対が得意だと言う方は皆無です。電話に出ることで分かること(取引先だったり、部署の役割、人と人との関係性など)が沢山あるから、誰よりも電話に出なさいと教えます。

「新入社員だから…」

「とりあえず電話ぐらいは取れるでしょ」

「他にやれることがないから…」

と言った表現とともに、電話対応を押し付けてしまったら…テルハラと呼ばれても仕方ないのか??

 

それにしても“●●ハラ”という言葉、この世の中からなくしたいですね。

では、また。

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