特定社会保険労務士 森川友惠のブログ

特定社会保険労務士です。働く場に関わるすべての人に幸せを。そんな思いで活動しています。

ハラスメントが発生する背景

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こんにちは。特定社会保険労務士の森川友惠です。今日の京都は少し肌寒いですが、とても良い天気です。

さて、ハラスメントについて。ハラスメントを日本語に置き換えると"いじめ、嫌がらせ"のことを指します。大の大人が集まって仕事をする場で、

"いじめって?"

"嫌がらせって?"

小学生や中学生じゃあるまし…という印象をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。ですが、今、ハラスメントが大流行です。実際にこちらのグラフをご覧ください。

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出典:厚生労働省

〖引用したページはこちらです〗

これは、いわゆる行政機関に寄せられた労働相談を内容別、年度別にグラフ化したものです。それまで相談のトップだった「解雇」と平成24年度に並んでから、以降毎年その件数を伸ばし、今やぶっちぎりのトップを走っているのが「いじめ・嫌がらせ」です。

実際に、私もこの3月末まで行政で労働相談を受ける仕事をしていましたが、直接的なハラスメントだけでなく、

「私だけ労働条件を引き下げられた」

「責任を押し付けられて、数字が下がったからと評定を大きく下げられた」

等の間接的に嫌がらせ??を疑うようなご相談を多く受けてきましたし、ここ2年は特にこの傾向が強いように思います。

では、その理由はどのように考えられるでしょうか?

大きく変化した働く人の意識

 以前であれば、自分の将来を考えて「長く仕事を続けたいから、ガマン」と考える人も多かったのですが、今は「合わないのであれば辞めれば良いや」「転職すれば問題なし」「いっそのこと開業しよう」と考える人が増えました。ですから、自分が感じた不満や不安を口に出す人が増えたこととともに、"パワハラ"という20年前は存在しなかった便利な言葉が浸透したこともあり、みんながこぞって使い始めたことが大きいですし、最近は人権意識が一般的に強まってきていることもあり、以前と比べて自分の意見や苦情を言いやすい状況になってきたこともあるでしょう。

 そして、職場だけでなく、地域や家庭、学校でも"厳しい指導"をする人がめっきり減ってきてストレスに対する耐性が弱まってきたからという指摘もあります。

 

職場環境の変化

 皆様の職場も、様々な背景を持たれている方が一緒に働かれてることと思います。ですからSMAPのセロリではないですが、"育ってきた環境が違うから好き嫌いはイナメナイ"状況なのではないでしょうか?世代、経験、考え方が違えば、仕事に対する価値観を違って当然です。が、この価値観を認めず、自分の考え方を押し付けたり、役職という力で合わせようとすることからハラスメントが生まれるのです。今、最も大切なことは、採用選考できちんとした採用基準を持つということと、"私もOK""あなたもOK"という考え方を職場に浸透させることです。

 採用基準については、「人手不足なのに、来てくれるだけでラッキー」「とにかく人がいるから全員採用」のような対応をされている事業所さんでは、数カ月で退職。しかも「解雇だ!予告手当支払え」なんて話で余計なパワーを使う…という悪循環にはまってしまうなんてことになりかねません。採用の段階で、会社に合う人材なのか?今の職場に欠かせない人材なのか?絶対にはずせない条件って何なのか?このあたりを研ぎ澄ましておく必要が将来のハラスメントの予防につながります。

 そして、"私もOK""あなたもOK"と言う考え方。実はこれがなかなか難しいのです。"私はOK"という考え方はできても、"あなたもOK"はなかなかのハードルの高さです。これは、自身の仕事への価値観が強固であればあるほど難しいのです。

 

では、どうすれば良いのか?

 いわゆる管理職層にある方は特に、その違いを楽しみ、「なぜ、その考え方になるのか?」と聞いてみてください。その理由を聞けば、妙に納得できたり、その人に興味を持つきっかけになります。100%上手くいくとは言えませんが、間違いなく、コミュニケーションの接点はできますから、この点がお互いを理解する糸口を見つけてくれるかも?です。

 他人と過去は変えられませんが、自分と未来は変えることができます。ぜひ、何かを変えたくば、まずは自分から変わることですね。

 私自身も肝に銘じて、午後の仕事頑張ります。

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